Linuxが注目されるようになった背景

 Linuxの歴史に関する情報を軽く整理しておきます。

 

 LinuxとはOSの一種です。コンピュータ本体のことをハードウェアといい、コンピュータが処理するプログラムやデータのことをソフトウェアと言います。その中でもOS(オペレーティングソフト)は基本ソフトウェアのことを指します。またアプリのことを応用ソフトウェアと言います。

 

 このLinuxが注目されるようになった根底には、「大型コンピュータを複数の人間で同時に共有したい」という願いがあります。

 

バッチ処理

 IBMがもともと作っていたコンピュータはバッチ処理」(一括処理)で動いていました。バッチ処理は、1日に何度でもではなく、1日の終わりに一気に全てのデータを処理するといったことです。コンピュータ的にはそれが効率良かったのですが、ユーザー的には問題でした。なぜなら1つの処理が終わるまで順番を待たなければいけないからです。

 

タイムシェアリング

 そこで考えられるようになったのが「タイムシェアリング」という複数の作業を同時に行う方法でした。飲食店で1組目の注文メニューを全て出し終えるまで、2組目に対応できなかったのが「バッチ処理」でしたが、「タイムシェアリング」は、4組のお客さんにもバランスよく注文を届けられるようになるといったイメージです。

 

MULTICS

 このタイムシェアリングの思想に基づいて最初に作られたOSがMULTICSでした。しかしこのMULTICSは、複数のユーザーが同時に使えるようにするといったことで生じる情報漏洩の問題に対処するために、厳重なセキュリティの仕組みを組み込んでいました。このことによって実用に耐えない処理速度となり、あまり使われなかったのです。

 

UNIX

 そこで、セキュリティ機構を取り外して仲間内だけで使われ始めたのがUNIXでした。これがやがて全米に広がっていったのです。このUNIXは、パソコンではなく、ワーク・ステーションと呼ばれる高性能・高価格のコンピュータで主に使われていました。

 

Linux

 しかしパソコンの性能が向上し、ワーク・ステーションとの境界線が消えつつありました。そうした中で、パソコン用UNIXとして開発されたのがLinuxでした。このLinuxはただのパソコン用UNIXではなく、2つの特徴を持っていたことによってインターネットの中で成長するOSとなりました。その2つの特徴とは「フリー」「オープン」です。フリーとは無料で使用できることであり、オープンとはプログラムの中身が公開されていることです。このことによってプログラムに自信のある人たちが、タダで手に入れたLinuxに手を加えて、より安定して使いやすいものに改良することが増えたのです。

 

 これらの情報を整理するにあたって以下の書籍を参考にしました。

坂村健『痛快! コンピュータ学』(集英社文庫、2016年)